「中国の台頭」の終わり
―― 投資主導型モデルの崩壊と中国の未来
The End of China's Rise
2016年2月号掲載論文
いまや中国はリセッションに直面し、中国共産党の幹部たちはパニックに陥っている。今後、この厄介な経済トレンドは労働人口の減少と高齢化によってさらに悪化していく。しかも、中国は投資主導型経済モデルから消費主導型モデルへの移行を試みている。中国の台頭が終わらないように手を打つべきタイミングで、そうした経済モデルの戦略的移行がスムーズに進むはずはない。でたらめな投資が債務を膨らませているだけでなく、財政出動の効果さえも低下させている。近い将来に中国共産党は政治的正統性の危機に直面し、この流れは、経済的台頭の終わりによって間違いなく加速する。抗議行動、ストライキ、暴動などの大衆騒乱の発生件数はすでに2000年代に3倍に増え、その後も増え続けている。経済の現実を理解しているとは思えない習近平や軍高官たちも、いずれ、中国経済が大きく不安定化し、その台頭が終わりつつあるという現実に向き合わざるを得なくなる。・・・
- 債務を増大させる投資かデフレか <部分公開>
- グローバル金融危機と中国の債務増大
- 日本経済と中国経済の違い
- 台頭の終わりと中国共産党の命運
- 若者が共産党を変える?
<債務を増大させる投資かデフレか>
この3カ月というもの、中国発の悪い経済ニュースが続いており、中国経済の今後はますます不透明化している。中国株が再び急落し、市場は大きく混乱した。大規模な政府の介入によって、かろうじて持ち堪えているというのが中国経済の現実だ。企業債務が増大し、外貨準備も大きく減少している。要するに、中国はリセッションに直面し、中国共産党の幹部たちはパニックに陥っている。
北京も今回の経済の異変が深刻であることを理解しているようだが、このトレンドは労働人口の減少と高齢化によってさらに悪化していく。北京は2015年10月末に、1979年以降実施されてきた一人っ子政策を止めて、2016年3月以降は2人まで子供を持つことを認める政策へと移行すると表明した。とはいえ、中国は、工場やオフィスで働き、学校で学ぶより多くの若者を切実に必要としているし、投資主導型モデルから消費主導型経済成長モデルに移行するために消費の拡大を刺激していく必要もある。
だが、中国の台頭が終わらないように手を打たなければならないタイミングで、経済モデルの戦略的移行がスムーズに進むはずはない。投資が減少すれば、消費需要はその分低下し、一方で、民間消費が投資の減少に派生する需要低下を埋め合わせるようになるには時間がかかる。
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